ミキハウスの
SDGs活動レポート
2023.05.31
We can make our dreams come true! きのくに高等専修学校「夢」の授業 自分を知ろう!
みなさん、こんにちは。ミキハウスグローバル事業部のテッパラット・シワポーンです。
私は、ひとりでも多くの子どもたちが、小さくても自分の夢を持てるような世界になってほしいと願っています。夢は誰でも持つのが当たり前と思われていると思いますが、実は難しいことですね。生活が厳しくて夢を持つ勇気がない子や、自分がわからなくて夢を持てない子もきっとたくさんいるでしょう。そう、私自身もまた「夢を持っていない」ひとりだったのです。
でも、目標を持てた日からいろいろなことが変わっていきました。だからこそ、どんな子どもも目標や夢を持てるような社会になってほしいと願っているのです。
何か自分にできることはないだろうか?と思っていたある日、坂本達さんから声をかけてもらい、きのくに子どもの村学園で、夢についての授業をすることになりました。
実は私は、夢を持っていませんでした
夢を持っていなかった私にどうして「夢」の授業を?と不思議に思っていましたが、坂本達さんからは、「シワポーンさんの体験談は、高校生にとって、きっとよいヒントになるよ」と言われたのです。
私は夢がないまま大学に入ったし、大学を出ても自分が何になりたいかわかりませんでした。そんな私が授業をしてもいいのかと最初は不安でいっぱいでした。
授業で生徒たちに「私は高校生の時、夢を持っていませんでしたよ」と伝えたときのみんなの驚いた顔が今でも印象に残っています。
高校から進路を
当時タイでは高校に入る際、文系か理系かを選択しなければなりませんでした。学習項目が大幅に違うため、文系を選んだら医学部や工学部に入れないということになります。そのため、ある程度自分が何になりたいかわかったうえで選択しないといけませんでした。当時私は日本文化にとても興味を持って、日本のアイドルやアニメも好きで、日本語を学びたくて文系を選びましたが、卒業したらどんな仕事をやりたいか全くわかっていませんでした。理系を選んで医師やエンジニアなどの仕事をしている自分も想像できなかったので、「夢をかなえる」ためではなく、自分の「好き」を信じて進路を決めただけだったのです。
日本に行きたい!
日本語を勉強していくうちに、いつか日本で暮らしてみたいなと思うようになりました。そして、「高校を卒業する前に絶対に日本に行く!」という目標ができたのです。でも、お金をかけずに行くにはどうしたらいいかを考えねばなりません。唯一の方法は奨学金を得ること。
当時、タイには高校生向けの日本語と日本文化に関するクイズ大会がありました。そのクイズ大会で優勝したら、日本の日本語学校に留学に行けるのです。私は3年間毎年参加して、高校3年生の時にやっと優勝することができて、念願の日本に来ることができました。
日本に来てみて、日本で生活をしてみたら、今度は「もう一度日本に留学したい!」という次の目標ができました。目標達成のために、一生懸命勉強しました。
そして、日本に留学したら、今度は「日本で仕事をしたい!」という次の目標ができました。気づいたら、私はもう日本にいました。
何だったら夢中になれる?
夢を持っていなかったし、日本で仕事をしたいという目標だけで、どうして今ミキハウスで勤めているの?と疑問を持っているでしょう。私は日本語が好きすぎて、日本語の研究ができたらいいと思って大学院に入りましたが、研究も教えるのも好きだけど、先生の仕事をするのはどう?と自分に問いかけたときに、答えが出ませんでした。だから、先生になるのをやめました。では、どうしたらいいのだろう・・・本当に迷いました。その時に自分にまた聞きました。
「あなたは何をやっていたら時間を忘れるの?」
「何に夢中になれるの?」
「何が苦手なの?」
「何が嫌いなの?」
すべて紙に書き出して、そこで洋服が好きな自分に出会ったのです。トレンドに左右されない、商品への思いがあって、品質にこだわる企業に入りたいという新しい目標ができて就職活動をしました。
そうして出会ったのがミキハウスでした。
自分がHAPPYな生き方を
夢は確かにあったほうがエネルギーになるし、熱くなるし、ゴールに進みやすいと思いますが、無理やり作る必要はないと思います。高校生に一番伝えたかったことは「ゆっくり自分を知って、小さな目標から始めればいい」ということです。夢でなくても、自分が何をやりたいか、どこですごしたら幸せかを知ったら、何か夢のヒントが出てくると思います。
授業で自分について話をして、高校生たちから力をもらった私は今、新しい夢や目標を探しているところです。
最初は、夢を持っていなかった自分が夢の授業に行って大丈夫?と思いましたが、授業後のみんなの感想文を読ませていただいて、少しヒントを受け取ってくれたようでうれしくなりました。一方で夢を持ち続けることは簡単ではないことも伝わってきました。
そんな彼らに、
「今見つかった夢は、いつ変わっても、途中であきらめても大丈夫!」とまた伝えたいです。
これからも夢を追いかけられる社会を作る努力とともに、みんなの夢を応援し続けたいと思います!
SDGs推進委員 テッパラット・シワポーン (グローバル事業部)
追記:きのくに子どもの村学園について
授業前にきのくに子どもの村学園を案内していただいて、自分が参加したい授業を自由に選べたり、中学校では自分が使う机を作ったり、「自由」に発信でき、個性を大事にする学校だなと感心しました。私が通っていた学校はきのくにほどではありませんが、学生を中心とした学校だったので、教室では先生が前でしゃべるより学生が前でしゃべって学びあう時間のほうが多かったです。
「どうして先生なのに教えてくれないの?」と思っていたので、そんな授業が苦手でしたが、今思えばその授業は自由な発想ができる私を育ててくれた気がします。
きのくに子どもの村学園が自分がすごしたタイの母校を思い出させてくれました。